不動産の売却では、売却代金から諸費用と税金を差し引いた額が手取りになります。費用の多くは決済日にまとめて精算されるため、事前に一覧で把握しておくと、住み替えや納税の資金計画が立てやすくなります。主な費用を、発生する時期とあわせて整理します(金額・期限は2026年10月時点)。
費用の全体像
| 費用 | 主な支払時期 | 必ずかかるか |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 契約時・決済時(分けて払うことが多い) | 仲介で売る場合 |
| 印紙税 | 売買契約時 | 契約書を作る場合 |
| 登記費用(抵当権抹消・住所変更など) | 決済時 | 該当する場合 |
| ローン完済の費用 | 決済時 | ローンが残っている場合 |
| 測量・解体・処分などの費用 | 売却前〜引渡し前 | 物件による |
| 譲渡所得税・住民税 | 売却の翌年 | 利益が出た場合 |
仲介手数料
不動産会社に支払う報酬で、宅建業法に基づく告示で上限が定められています。売買の媒介で依頼者の一方から受けられる上限は、売買価格に応じて次の率で計算します(消費税込み)。
| 売買価格の区分 | 上限の率(税込) |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5.5% |
| 200万円超400万円以下の部分 | 4.4% |
| 400万円超の部分 | 3.3% |
400万円を超える物件では、「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額が上限と同じになります。2024年7月からは、売買価格800万円以下の宅地・建物(低廉な空家等)について、上限を30万円の1.1倍(税込33万円)とする特例が設けられています(媒介契約の際に、報酬額について事前の説明と合意が必要)。
これはあくまで上限で、上限額での請求が義務づけられているわけではありません。仕組みは「仲介手数料の仕組み」で詳しく整理しています。
印紙税——軽減措置は2027年3月末まで
売買契約書には印紙税がかかります。売主・買主がそれぞれ1通ずつ保有する場合、各自が自分の分を負担するのが一般的です。2027年(令和9年)3月31日までに作成される契約書には、軽減税率が適用されます。
| 契約書に記載された金額 | 軽減後の税額 |
|---|---|
| 500万円超 1,000万円以下 | 5千円 |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 3万円 |
| 1億円超 5億円以下 | 6万円 |
| 5億円超 10億円以下 | 16万円 |
(そのほかの区分は国税庁の案内をご確認ください。)印紙代は、売主が負担した分を譲渡費用に含められます。
登記費用
所有権移転の登録免許税は通常買主が負担しますが、売主が負担する登記もあります。
- 抵当権抹消登記:住宅ローンなどの抵当権を消す登記。登録免許税は不動産1個につき1,000円(土地と建物なら2個)
- 住所・氏名変更登記:登記上の住所が現住所と違う場合に必要。登録免許税は不動産1個につき1,000円
- 司法書士に依頼する場合は、その報酬
住所変更は、購入後に引っ越した方の多くが該当します。登記簿の住所と印鑑証明書の住所がつながっているかを、早めに確認します。
ローン完済の費用
売却代金で住宅ローンを一括返済する場合、金融機関によって繰上返済の手数料がかかることがあります。決済日に合わせて返済の手続きをするため、売買契約の後すぐに金融機関に連絡し、手数料と必要書類、抵当権抹消書類の受け取り方法を確認します。売却代金で完済できない場合の進め方は「住宅ローンが残っている家を売る」をご覧ください。
物件によってかかる費用
- 測量費:境界が確定していない土地では、確定測量が必要になることがあります
- 解体費:古家を取り壊して売る場合
- 残置物の処分費・ハウスクリーニング:引渡しまでに家財を片付ける費用
- 建物状況調査の費用:売主が事前に調査を依頼する場合
- 固定資産税の精算:費用ではありませんが、引渡し日を基準に買主から日割りで受け取るのが慣例です
税金——売却の翌年に納める
利益(譲渡所得)が出た場合は、所得税・住民税がかかります。
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
仲介手数料、売主が負担した印紙税、土地を売るための建物の取壊し費用などは譲渡費用として差し引けます。一方、修繕費や固定資産税など、維持・管理のための費用は譲渡費用に含まれません。どの費用が該当するかは費用ごとに確認が必要なため、領収書は項目ごとに分けて保管します。税率は所有期間で変わり、住まいの売却なら3,000万円控除などの特例もあります。申告と納税は売却の翌年です。
手取りの目安を出す順番
- 想定売却価格を決める
- 仲介手数料・印紙税・登記費用・ローン完済費用を差し引く
- 測量・解体・片付けなど物件固有の費用を差し引く
- 譲渡所得を計算し、税額の目安を出して納税資金として別にしておく
当社では、売却のご相談の段階で、これらの費用と税金を差し引いた手取りの目安を一覧にしてお伝えしています。
税務・登記の個別判断は、税理士・司法書士にご確認ください。

