市街化調整区域は、都市計画法で市街化を抑えるべき区域とされ、建物を建てることが原則として認められていません。ただし、過去の経緯や建てる人・建物によって許可を得られる場合もあります。売れるかどうかは、まず「その土地で、誰が、何を建てられるか」を確かめることから始まります。
市街化区域と市街化調整区域
都市計画区域は、市街化を図る市街化区域と、市街化を抑制する市街化調整区域に分けられています(いわゆる線引き)。名古屋市は昭和45年から全市で開発許可制度を適用しており、市の公表によると、市街化調整区域は平成31年3月31日時点で約2,390ヘクタール、市域の約7%です。市内の土地であっても、調整区域に当たるかどうかは個別に確認が必要です。
何が制限されるのか
市街化調整区域では、開発行為や建築行為が原則として禁止されており、建替えや用途変更も同様に制限されます。
建てられる可能性があるのは、事前相談で都市計画法34条の類型などに該当すると判断された場合で、そのうえで次の許可が必要です。
| 行為 | 必要な許可 |
|---|---|
| 造成など開発行為を伴う場合 | 都市計画法29条の開発許可 |
| 開発行為を伴わない建築・用途変更 | 都市計画法42条・43条の建築許可 |
計画によっては開発審査会の議決が必要で、農林漁業を営む人の住宅など許可が不要と判断されるものもあります。名古屋市では事前相談書を提出して許可の要否を確認します。この建築許可は、建築基準法の「建築確認」とは別の手続きです。
災害リスクのある区域では、令和4年4月から、住宅などの許可にあたって想定される災害に応じた安全・避難上の対策が求められるようになっています。
既存宅地制度の廃止とその後
かつては、線引き前から宅地だった土地について「既存宅地」の確認を受ければ、調整区域でも一定の建築ができる制度がありました。この既存宅地の確認制度は、平成12年の都市計画法改正で廃止されています。名古屋市は平成14年に、市の実情に合わせた開発許可の基準を条例で定めています。
そのため、「昔は既存宅地だった」「以前は家が建っていた」というだけでは、現在も建築できるとは限りません。過去の許可の内容、建物が建っていた経緯、現在の条例の基準に当てはまるかを、個別に市へ確認する必要があります。
売れにくいと言われる理由
- 買える人が限られる:許可の要件が「建てる人」の属性(農林漁業者であることなど)に結びついている場合、一般の買主は建築できない
- 用途が限られる:許可が得られても、建てられる建物の種類や規模が限定される
- 融資が付きにくい:建築の可否が不確実な土地は、買主の住宅ローン審査で担保として評価されにくいことがある
- インフラ:上下水道、道路の整備状況が市街化区域と異なることがある
売る前に確認すること
- 線引きの前後の利用状況(いつから宅地か、建物の建築時期)
- 過去の開発許可・建築許可とその条件、現存建物の建築確認・検査済証
- 接道・上下水道の状況
- 地目が農地なら、農地法の転用許可(「農地を売る・転用する」)
- 市の事前相談での判断(建替え・用途変更の可否)
建築できる見込みがあれば条件を明示して住宅用地として、特定の人だけが建てられるならその要件を満たす人に絞って、建築が難しければ建物を前提としない利用を考える買主(隣地の所有者など)に、というように売り方が変わります。建物を建てない利用でも、他の法令や条例の確認が必要です。
調整区域を含め、売りにくい土地の出口の考え方は「相続した土地が「売れない」と言われたら」でまとめています。
当社では、市街化調整区域の土地について、市の担当窓口での確認事項を整理したうえで、建築の可否に応じた売却先の考え方をご提案しています。
開発許可・建築許可の要否は、名古屋市住宅都市局の開発審査の担当窓口など所管の行政機関に、税務の個別判断は税理士にご確認ください。

