相続した土地を査定に出したら「うちでは扱えません」と言われた——そういう相談は珍しくありません。売れないのではなく、「普通の売り方では売れない」土地です。制約の種類を見分ければ、出口は見えてきます。
1. 再建築不可(接道義務を満たさない)
幅4m以上の道路に2m以上接していない土地は、原則として新しく建物を建てられません。買主は「今の建物を使い続ける」か「建てられるようにする」かのどちらかになります。
出口の例 - 隣地の所有者に買ってもらう(隣地と合わせれば接道を満たせることが多く、隣地にとって価値がある) - 隣地の一部を買い取る、または通路部分の使用承諾を得て、接道を満たす - 「43条但し書き(2項)許可」で、特定行政庁の許可を得て建築できる場合がある(名古屋市の建築審査会の基準を確認) - 建て替えを前提としない買主(リフォームして住む、倉庫・駐車場として使う)に売る - 再建築不可を専門に扱う買取業者に売る(価格は下がる)
2. 市街化調整区域
市街化を抑制する区域で、原則として新たな建築・開発ができません。ただし例外があります。
- 既存の建物を引き継ぐ場合(用途の制限あり)
- 農家住宅、分家住宅など、一定の要件で建てられるもの
- 自治体の条例で、既存集落内などに限って許可される区域(名古屋市周辺の市町で扱いが異なる)
- 資材置き場、太陽光発電、駐車場など、建物を伴わない利用
買主は限られますが、「建物を建てずに使う」需要(事業者の資材置き場、近隣農家、隣地所有者)で売れることがあります。
3. 農地
農地を農地以外の目的で売る(宅地にする、駐車場にする)には、農地転用の許可(市街化区域内は届出)が必要です。農地のまま売る場合も、買主は原則として農業を営む人に限られます。
- 市街化区域内の農地:農業委員会への届出で転用でき、宅地として売りやすい
- 市街化調整区域の農地:農用地区域(青地)なら転用はほぼ不可、それ以外(白地)でも許可の要件が厳しい
- 2023年4月からは、農地を取得する際の下限面積要件が撤廃され、小さな農地でも農業目的の買主が取得しやすくなった
4. 山林・原野・遠方の土地
管理に手間がかかるわりに買い手が少ない土地です。近隣の所有者、林業事業者、太陽光・キャンプ場などの事業者が候補になります。どうしても引き取り手がない場合は、相続土地国庫帰属制度(2023年4月開始)で国に引き取ってもらう選択肢がありますが、建物がある・境界が不明・担保権がある土地などは対象外で、審査手数料と10年分の管理費相当の負担金(原則20万円〜)が必要です。
5. 共有・境界未確定・越境
土地そのものは売れるのに、権利や境界の問題で止まっているケースです。共有者の合意、確定測量、越境の覚書を整えれば、普通の売却に戻れます。
考え方の順番
- なぜ売れないと言われたのかを特定する(接道・区域・農地・権利・境界のどれか。複数のこともある)
- その制約の中で誰なら買えるかを考える(隣地、同業、事業者、買取業者)
- 制約を解消する手段があるか(隣地との交渉、許可申請、測量、転用)と、その費用・期間
- 解消する場合と、現状のまま売る場合の手取りを比べる
「売れない」土地の多くは、「相手と売り方を変えれば売れる」土地です。当社は、隣地との交渉や行政との確認を含めてお引き受けしています。

