収益物件の広告に書かれている「利回り○%」は、ほとんどの場合「表面利回り」です。実際に手元に残る金額を見るには、経費と空室を引いた「実質利回り」で考える必要があります。
表面利回り
年間賃料収入 ÷ 物件価格。満室を前提にした、経費を引く前の数字です。物件同士をざっくり比べるには便利ですが、これだけで判断はできません。
- 「満室想定」の賃料が、現在の募集賃料や周辺相場より高く設定されていないか
- 一部の部屋が長く空いていないか(レントロールで契約日を確認)
実質利回り
(年間賃料収入 − 年間経費)÷(物件価格 + 購入時の諸費用)。経費に何を入れるかで数字が動くので、内訳を自分で確認します。
| 経費の項目 | 目安・注意点 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 納税通知書で実額を確認。評価替えで変わる |
| 管理委託料 | 賃料の3〜5%程度が一般的。管理会社により異なる |
| 建物管理費・共用部光熱費 | エレベーター保守、清掃、受水槽点検など |
| 修繕費 | 小修繕(退去時の原状回復、設備交換)と、大規模修繕(外壁・屋上・配管)の積立を分けて考える |
| 火災保険・地震保険 | 建物の構造・築年で保険料が変わる |
| 入居募集費 | 仲介手数料・広告料。退去が多いと増える |
| 空室損 | 満室賃料の5〜10%を見込むのが一つの目安。立地と築年で調整 |
購入時の諸費用(仲介手数料、登記費用、不動産取得税、印紙税、融資手数料など)は、物件価格の6〜8%程度になることが多く、分母に入れると利回りは下がります。
融資を使う場合に見る数字
- 返済後キャッシュフロー:実質の手残りから年間のローン返済額を引いた金額。ここがプラスでないと、保有し続けるほど持ち出しになる
- 金利上昇の耐性:金利が1%上がったときに返済後の手残りがどうなるかを試算しておく
- 出口:将来売却するときの想定価格と残債の関係。築年が進むほど融資期間が短くなり、買い手の層が変わる
利回りが高い物件に多い理由
利回りの高さは、何かしらのリスクの裏返しであることがほとんどです。
- 立地(駅距離・人口動態)が弱く、空室や賃料下落のリスクが高い
- 築年が古く、近いうちに大規模修繕や設備更新が必要
- 再建築不可、借地、検査済証なしなど、融資や次の売却に制約がある
- 現在の賃料が相場より高く、入れ替わりで下がる見込み
逆に、利回りが低くても、立地が良く賃料が安定していて、将来の売却価格が見込める物件は、トータルの収益で優れることがあります。
購入前に自分で出しておく数字
- 現在の賃料(レントロール)と周辺相場の比較
- 年間経費の実額(納税通知書・管理契約・修繕履歴から)
- 実質利回りと、融資を使う場合の返済後キャッシュフロー
- 10年後に売るとしたら、いくらで誰が買うか
当社では、これらを一つの表にして、物件ごとに同じ基準で比較できる形でお出ししています。
