収益物件の購入で後から困るのは、価格ではなく「見ていなかった項目」です。買付を入れる前に、次の4点を自分の目で確認します。
1. 法令——建てられた当時と今の法律
- 検査済証:建物が建築確認どおりに完成したことを示す書類。ないと、融資が付きにくい・将来の増改築や用途変更で手続きが複雑になることがあります。ない場合は「建築確認済証」と「台帳記載事項証明書」で代替できるかを確認
- 既存不適格と違反建築:建築当時は適法でも、その後の法改正で現行基準に合わなくなったものが既存不適格(違法ではない)。一方、容積率オーバーや無許可の増築は違反建築で、是正を求められることや融資の対象外になることがあります
- 接道・再建築:建て替えができる土地か。幅員4m以上の道路に2m以上接しているか、セットバックの要否
- 用途地域と用途:店舗・事務所・住宅の混在が用途地域で認められているか
- 消防・昇降機などの法定点検:実施記録と指摘事項。未実施は購入後の費用になる
2. 権利・境界
- 登記事項証明書:所有者、抵当権・根抵当権、仮登記、差押え、地役権。売主が完済・抹消できる見込みか
- 境界:確定測量図と境界確認書の有無。境界標が現地にあるか。越境している・されている物(塀、庇、配管)と、覚書の有無
- 私道・通行掘削承諾:前面道路が私道の場合、所有者から通行と配管工事の承諾が取れているか
- 借地・底地:土地が借地の場合、契約内容・地代・承諾料・残存期間
3. 賃貸借——引き継ぐ契約の中身
- レントロールと契約書の突合:賃料・敷金・特約が一致しているか。口約束の特約(更新料免除、ペット可など)がないか
- 敷金・保証金の承継:売買時に売主から引き継ぐ金額を確定
- 滞納・トラブル:滞納履歴、騒音・近隣との問題、過去の訴訟
- サブリース・一括借上げ:解約条件と賃料改定の条項。借上げ賃料が相場より高く設定されていないか
- 反社会的勢力・用途違反の入居者:契約書の暴排条項と、現況の確認
4. 建物の状態と修繕
- 屋上防水・外壁・給排水管・受水槽・エレベーター・機械式駐車場の修繕履歴と、次に必要になる時期の見込み
- 耐震:1981年5月以前の建築確認(旧耐震)か。旧耐震は融資・保険・売却時に不利になることが多い
- アスベスト・土壌汚染:建築年と用途(工場跡地など)から調査の要否を判断
- 可能なら建物状況調査(インスペクション)を実施
5. 資金と出口
- 融資の条件(期間・金利・自己資金)は、建物の構造と築年(法定耐用年数)で大きく変わる。RC造47年、重量鉄骨34年、木造22年が目安
- 購入時の諸費用(仲介手数料、登記、不動産取得税、印紙、融資手数料、火災保険)を含めた総額で利回りを見直す
- 10年後に誰にいくらで売るかの想定。融資が付きにくい築年になる前に出口を取るか、長期で持つか
買付前に揃えておきたい資料
登記事項証明書/公図・測量図/建築確認済証・検査済証/レントロール/賃貸借契約書一式/修繕履歴/納税通知書/管理委託契約/法定点検の記録/告知事項の有無(事故・事件など)
揃わない資料があることは珍しくありません。「ない」ことを前提に、価格と条件でどう織り込むかを一緒に考えます。

