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遺言があるとき・ないときの不動産——相続後の売却手続きはどう変わるか

遺言があるとき・ないときの不動産——相続後の売却手続きはどう変わるか

自筆証書遺言と公正証書遺言、検認、遺言執行者、遺産分割協議。不動産を相続して売るまでの手続きが、遺言の有無でどう違うかを整理します。

相続した不動産を売るには、まず相続人の名義に登記する必要があります。そこに至る道筋は、遺言があるかどうかで大きく変わります。

遺言がない場合:遺産分割協議

相続人全員で「誰がどの財産を取得するか」を話し合い、遺産分割協議書を作ります。全員の署名・実印・印鑑証明書が必要です。

  • 相続人を確定するため、被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める(1〜2か月かかることがある)
  • 一人でも反対・連絡不能だと協議が成立しない。所在不明なら不在者財産管理人、認知症なら成年後見人が必要になる
  • 協議がまとまらなければ、家庭裁判所の調停・審判

不動産を売って代金を分ける(換価分割)なら、協議書に「売却して代金を○:○で分ける」と記載し、代表者または全員の名義で相続登記をしてから売却します。

遺言がある場合

自筆証書遺言

本人が全文・日付・氏名を自書し、押印したもの(財産目録はパソコン可)。

  • 自宅などで保管されていた場合、家庭裁判所の検認が必要(申立てから1〜2か月)。封印のある遺言書を家庭裁判所以外で開封すると過料の対象
  • 法務局の保管制度を使っていた場合は検認不要。相続人は法務局で遺言書情報証明書を取得できる
  • 形式不備(日付がない、押印がない等)で無効になるリスクがある

公正証書遺言

公証人が作成し、原本は公証役場で保管。検認不要で、紛失・改ざんの心配がなく、すぐに登記手続きに使えます。不動産を含む相続では、公正証書にしておくのが実務上の標準です。

遺言執行者

遺言で指定されていれば、換価(売却して分ける)を命じる遺言など、遺言の内容と与えられた権限に応じて、執行者が相続登記や売却を進められ、相続人全員の協力が不要になる場合があります。登記・売却の権限がどこまであるかは、遺言の文言をもとに司法書士に確認します。「不動産を売却して代金を分ける」内容の遺言では、執行者の指定があるかどうかで手間が大きく違います。指定がない場合は家庭裁判所に選任を申し立てられます。

相続登記

2024年4月から義務化され、相続で取得したことを知った日から3年以内に申請します(それ以前の相続も対象。施行前から知っていた場合は2027年3月31日まで)。

  • 必要書類:戸籍一式、遺産分割協議書または遺言書、印鑑証明書、固定資産税評価証明書など
  • 登録免許税:固定資産税評価額の0.4%(土地は一定の要件で免税措置あり)
  • 司法書士に依頼するのが一般的。費用は数万〜十数万円

遺言で「相続させる」と書かれた不動産は、その相続人が単独で登記を申請できます。

売却までの時間の目安

状況 登記まで 売却開始まで
公正証書遺言+執行者あり 1〜2か月 登記と並行して売り出し可
自筆証書遺言(検認要) 2〜4か月 検認後
遺言なし・協議が円満 2〜4か月 協議書作成後
遺言なし・協議が難航 半年〜数年 調停・審判の後

売却時の税の確認

  • 相続税の申告期限(10か月)と、取得費加算の特例(申告期限の翌日から3年以内の売却)
  • 被相続人が一人で住んでいた家なら、空き家の3,000万円控除(相続から3年目の年末まで。建築年・売却価格などその他の要件あり。詳しくは「相続した実家を売るときの空き家の3,000万円控除」)
  • 複数の相続人で売る場合、各人が自分の持分について申告する

遺言を残す側へ

不動産がある相続は、遺言の有無で遺された家族の負担が大きく違います。特に、収益物件・事業用地・共有になりやすい実家は、誰が取得するか、売るなら誰が執行するかを公正証書遺言で決めておくことが、売却を止めない最も確実な準備です。

当社では、相続した不動産の売却について、司法書士・税理士と連携し、相続登記から売却・納税資金の手当てまで一緒に段取りしています。

法務・税務の個別判断は、司法書士・弁護士・税理士にご確認ください。

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