サブリースは、サブリース業者がオーナーから建物を一括で借り上げ、入居者に転貸する仕組みです。空室があっても一定の賃料がオーナーに支払われるため「家賃保証」「一括借上げ」と説明されることがあります。一方で、賃料の減額や解約をめぐるトラブルが社会問題となり、2020年に賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)が制定されました。仕組みと注意点を整理します。
サブリースの契約関係
| 契約 | 当事者 | 内容 |
|---|---|---|
| マスターリース契約(特定賃貸借契約) | オーナー ⇔ サブリース業者 | 業者が建物を借り上げ、オーナーに賃料を支払う |
| 転貸借契約 | サブリース業者 ⇔ 入居者 | 業者が入居者に貸し、賃料を受け取る |
オーナーから見ると、サブリース業者は「借主」です。この点が、後で述べる賃料減額や解約の問題につながります。
賃貸住宅管理業法による規制
国土交通省の案内では、賃貸住宅管理業法は2020年6月に公布され、サブリースに関する規定は2020年12月15日、賃貸住宅管理業の登録制度などは2021年6月15日に施行されています。サブリース業者(特定転貸事業者)と、業者と組んで勧誘する者(勧誘者)には、主に次の規制があります。
- 誇大広告等の禁止:実際より良い条件と誤認させる表示、著しく事実と異なる表示、不利な事項を省いて誤認させる表示の禁止
- 不当な勧誘等の禁止:事実を告げない、不実を告げるなどの勧誘や、契約の解除を妨げる行為の禁止
- 契約締結前の重要事項説明:マスターリース契約の締結前に、書面を交付して重要事項を説明する義務
- 契約締結時の書面交付
- 書類の閲覧:業務と財産の状況を記載した書類を備え置き、求めに応じて閲覧させる義務
違反には罰則が設けられています。また、国土交通省はサブリース業者の違反を通報できる窓口(サブリース申出制度)を設けています。
賃料は減額されることがある
国土交通省の「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」は、重要事項説明で、次の点を説明するよう求めています。
- 契約の条件にかかわらず、借地借家法第32条第1項に基づき、サブリース業者が賃料の減額請求を行うことができること
- ただし、経済事情の変動などで賃料が不相当になったときなど、借地借家法上の要件を満たさない限り減額請求はできないこと
- 家賃改定日が定められていても、その日以外に減額請求ができること
「〇年間賃料固定」「30年保証」といった説明があっても、それがそのまま減額されない保証にはなりません。契約書で、賃料の見直し時期と方法、見直しの基準を確認しておくことが大切です。
オーナーからの解約は簡単ではない
ガイドラインは、借地借家法第28条に基づき、オーナーからの解約には正当事由が必要であることも説明事項としています。サブリース業者は借主として借地借家法で保護されるため、オーナーが「賃料が下がったので別の管理会社に替えたい」「売却のために契約を終わらせたい」と考えても、契約期間の満了や中途解約の条項だけで終了できるとは限りません。
解約・更新拒絶の条件、違約金の有無、契約終了時に入居者との転貸借契約をオーナーが引き継ぐ扱いなどを、契約前に確認しておく必要があります。
契約前に確認したいこと
- 賃料の見直し:見直しの時期・頻度、減額の可能性と借地借家法の説明があるか
- 免責期間:新築時や退去後に、業者からの賃料支払いがない期間があるか
- 修繕・維持保全の負担:どの修繕をオーナーが負担し、業者指定の工事会社を使う必要があるか
- 契約期間と解約:業者からの解約の条件と、オーナーからの解約に必要な事由・違約金
- 契約終了時の承継:入居者との契約、敷金の扱いはどうなるか
- 収支の試算:減額された場合や、修繕費がかかった場合でも返済が成り立つか
保有中・売却時の注意
サブリース付きの物件を売る場合、買主はマスターリース契約を引き継ぐかどうかを検討します。サブリース賃料は、業者の取り分がある分、入居者が支払う賃料の合計より低くなるのが通常で、収益で価格を考える買主から見ると評価が伸びにくい場合があります。一方で、契約を終了させるには正当事由や違約金の問題があるため、売却を考え始めた段階で契約書を読み直し、解約の条件を確認することが重要です。収益物件の売却の進め方は「入居者がいるまま売る」も参考になります。
当社では、サブリース契約が付いた物件の保有・売却のご相談の際に、契約書の賃料見直し・解約の条項を確認し、契約を引き継ぐ場合と終了させる場合の収支を比較しています。
契約の解約や賃料減額請求への対応など個別の法的判断は、弁護士にご確認ください。

