家を貸すときの契約は、大きく「普通借家」と「定期借家」の二つです。違いは「貸主の都合で契約を終えられるか」。将来、自分で住む・売る・建て替えるつもりがあるなら、契約の種類が出口を左右します。
二つの契約の違い
| 普通借家契約 | 定期借家契約 | |
|---|---|---|
| 期間満了時 | 借主が希望すれば原則更新される。貸主からの更新拒絶には「正当事由」が必要 | 更新はなく、期間満了で終了する(再契約は双方合意で可能) |
| 貸主の出口 | 取りにくい。立退料を要することが多い | 期間を決めて貸せる |
| 賃料 | 相場どおり | 期間が短い・更新がない分、相場よりやや低くなることがある |
| 向く場面 | 長く安定して貸したい賃貸経営 | 転勤中の自宅、相続した家を一定期間だけ貸す、将来の建て替え・売却を予定している |
定期借家を成立させる要件
定期借家は、要件を欠くと普通借家として扱われます。貸す前に次の3点を確認します。
- 書面(または電磁的記録)で契約する:公正証書である必要はありませんが、書面での契約が必須。2022年5月以降は電磁的方法も認められています
- 契約前に「更新がなく期間満了で終了する」ことを書面で説明する:契約書とは別の書面で事前に説明し、交付します。この説明がないと定期借家にならないとされています
- 期間を定める:1年未満の期間も有効です
終了の通知
契約期間が1年以上の定期借家では、貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間に、借主に「期間満了で終了する」旨を通知する必要があります。この期間に通知しないと、通知から6か月経つまで終了を主張できません。内容証明など記録の残る方法で通知するのが一般的です。1年未満の契約では通知は不要です。
借主側からの中途解約
床面積200㎡未満の居住用建物では、転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情で使い続けられなくなったとき、借主は解約を申し入れることができ、申入れから1か月で終了します。それ以外の中途解約は、契約書の特約によります。
相続した家・転勤中の自宅を貸すときの考え方
- 数年後に売却や自分の居住を考えているなら、定期借家で期間を区切る
- 空き家のまま置くよりは、短期でも貸したほうが建物は傷みにくく、収入にもなる
- 相続した家で「空き家の3,000万円特別控除」を使う可能性があるなら、貸すと要件を外れるため、売却の判断を先にする
- 貸す前に、火災保険の切り替え、設備の点検、残置物の整理、管理会社への委託の要否を決める
当社では、貸す・売る・持つを同じ表で比較し、貸す場合は定期借家の設計と管理会社の手配までお手伝いしています。
契約の有効性は個別の事情で判断が分かれることがあります。契約書の作成は宅地建物取引士・弁護士にご確認ください。

