土地と建物の所有者が違う、名義人が何人もいる、相続で持分が細かく分かれている。こうした不動産は、価格だけでなく「誰と、どの順番で話すか」で結果が変わります。
底地と借地権
借地権は「他人の土地を借りて建物を所有する権利」、底地は「借地権が付いた土地の所有権」です。一つの土地に二つの権利が重なっているため、どちらか一方だけでは市場価値が限られます。
| 立場 | 主な出口 | ポイント |
|---|---|---|
| 底地を持つ地主 | 借地人に売る/借地権を買い取って完全所有権にして売る/底地のまま第三者に売る | 借地人への売却が最も価格が出やすい。第三者への売却は地代収入を前提に評価される |
| 借地権を持つ借地人 | 地主に売る/地主の承諾を得て第三者に売る/底地を買い取って完全所有権にする | 第三者への譲渡には地主の承諾(承諾料)が必要。承諾が得られない場合は裁判所の代諾許可の制度がある |
| 双方 | 同時に第三者へ売却(完全所有権として売る) | 配分割合の合意が要る。一般に底地と借地権を合わせると、それぞれ別に売るより高く評価される |
更新料・承諾料・地代の相場、旧法借地権か新法(定期借地権など)かで扱いが変わるため、契約書と地代の支払い記録を最初に確認します。
共有不動産
相続で兄弟姉妹の共有になった土地・建物は、使う・貸す・売るのすべてに共有者の合意が関わります。
- 保存行為(修繕など):単独でできる
- 管理行為(短期の賃貸、軽微な変更など):持分の過半数で決める
- 変更・処分(売却、建て替えなど):全員の同意が必要
全員の同意が得られないときの出口は、自分の持分だけを売る(買い手は限られ、価格も低い)か、共有物分割(話し合い、または裁判所の手続き)です。分割には、現物で分ける・一人が取得して他に金銭を払う・売却して代金を分ける、の三つの方法があります。
2023年4月の民法改正で使えるようになった手段
所有者不明土地対策として、2023年4月1日施行の改正民法で次のような仕組みが整いました。
- 所在等不明共有者の持分の取得・譲渡:連絡が取れない共有者がいる場合、裁判所の手続きを経て、その持分を他の共有者が取得したり、不動産全体を第三者に譲渡したりできる
- 共有物の管理の明確化:賛否を明らかにしない共有者がいる場合に、裁判所の決定を得て残りの共有者で管理事項を決められる
- 所有者不明土地・建物管理制度:裁判所が管理人を選び、管理・売却を行える
「一人連絡が取れないから何もできない」という状況は、以前より解決しやすくなっています。
整理の手順
- 登記事項証明書で権利関係を全部確認する(抵当権・仮登記・差押えの有無も)
- 契約書・地代や賃料の記録・固定資産税の負担状況を集める
- 関係者ごとに「何を望んでいるか」を把握する(現金化、継続保有、使用)
- 選択肢を金額と期間で並べて提示し、合意できる形を探す
- 必要に応じて、弁護士・司法書士・税理士と連携して手続きに進む
関係者が多い取引は、最初に全体像を描いてから一人ずつ話を進めるのが近道です。当社は、こうした調整を含めてお引き受けしています。
法律・税務の個別判断は、弁護士・司法書士・税理士にご確認ください。

