収益不動産の購入は、物件そのものと同じくらい「どう借りるか」で結果が変わります。金融機関が何を見て、何で期間と金利が決まるのかを知っておくと、物件探しの段階から話が早くなります。
金融機関が見る三つのもの
- 物件の収益力:賃料収入から経費を引いた純収益で、返済をまかなえるか(返済比率)。空室や賃料下落のストレスをかけて見る
- 物件の担保価値:積算(土地の路線価等+建物の再調達価格から減価)や収益還元で評価し、融資額の上限の目安にする
- 借りる人の属性:年収・資産・既存の借入・事業の決算。法人なら決算書と代表者の資産
このうち「物件の収益力と担保価値」は物件ごとに決まるため、事前に数字を整えておけるかどうかが審査の速さを左右します。
融資期間は「法定耐用年数」でほぼ決まる
多くの金融機関は、融資期間の上限を建物の法定耐用年数から築年数を引いた年数を基準にしています。
| 構造 | 法定耐用年数(住宅用) |
|---|---|
| 鉄筋コンクリート造(RC) | 47年 |
| 重量鉄骨造(骨格材4mm超) | 34年 |
| 軽量鉄骨造(3mm超4mm以下) | 27年 |
| 木造 | 22年 |
例えば築20年のRCなら残り27年、築20年の木造なら耐用年数超過。耐用年数を過ぎた建物でも融資する金融機関はありますが、期間が短くなり(10〜15年など)、毎年の返済額が増えてキャッシュフローが薄くなります。「利回りが高いのに手残りが少ない」物件は、この融資期間の短さが原因であることが多いです。
金利の種類と上昇への備え
- 変動金利:当初は低いが、市場金利に連動して上がる。多くの投資用ローンは変動
- 固定金利(期間固定):一定期間は金利が変わらない。変動より高いが、計画が立てやすい
購入前に「金利が1%上がったら年間の返済額がいくら増え、手残りがどうなるか」を試算しておきます。返済比率(年間返済額÷年間賃料収入)が高いほど、金利上昇に弱くなります。
自己資金
物件価格の1〜3割程度の自己資金を求められることが一般的で、ほかに購入時の諸費用(価格の6〜8%程度)が必要です。自己資金が多いほど、融資期間や金利の条件が良くなりやすく、金利上昇にも耐えやすくなります。「フルローン」は条件が合えば可能なこともありますが、返済比率が高くなり、売却時に残債が売却価格を上回るリスクが増えます。
法人で借りる場合
設立したばかりの資産管理会社は、代表者の連帯保証と個人資産の裏付けが前提になることがほとんどです。決算を2〜3期重ねると、法人の実績で借りやすくなります。金融機関によって法人向けの姿勢が大きく違うため、複数に相談する価値があります。
事前に整えておく資料
本人確認書類、源泉徴収票または確定申告書(3年分)、保有資産の一覧、既存借入の返済予定表、法人なら決算書3期分。物件側は、レントロール、売買契約書案、登記事項証明書、建物図面、修繕履歴。
当社の関わり方
当社は金融機関を紹介する立場ではなく、物件の数字(レントロール・経費・修繕見込み)を金融機関が審査しやすい形に整え、融資期間と返済後の手残りまで含めて物件を比較できるようにお手伝いしています。融資の可否や条件は金融機関の判断です。
融資条件は金融機関・時期・個別の事情で変わります。

