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収益不動産は法人で買うか、個人で買うか——資産管理会社を考える前に

収益不動産は法人で買うか、個人で買うか——資産管理会社を考える前に

税率、経費、相続、融資、売却時の扱い。法人所有と個人所有の違いを一覧にし、資産管理会社を作る判断の目安を整理します。

収益不動産を買うとき、「法人を作ったほうが得ですか」という質問をよく受けます。答えは、所得の大きさ・保有期間・相続の見通し・融資の条件で変わります。判断の軸を整理します。

税率の違い

個人 法人
賃料収入への課税 所得税(5〜45%の累進)+住民税10% 法人税・地方税あわせて実効税率おおむね30%前後(中小法人は所得800万円以下に軽減)
売却益への課税 分離課税。所有5年超20.315%、5年以下39.63% 他の所得と合算して法人税率
損失 不動産所得の赤字は給与等と損益通算可(土地の借入利息部分は制限あり) 他の事業の黒字と相殺可。欠損金は10年繰越

給与所得が高い方が個人で収益物件を持つと、賃料収入が高い税率で課税されます。一方、法人は税率が一定なので、所得が大きいほど法人が有利になりやすい——これが「資産管理会社」が勧められる理由です。ただし、売却益は個人の長期譲渡(20.315%)のほうが法人より低いことが多く、短期で売る予定なら逆転します。

経費と所得の分散

  • 法人は、役員報酬として家族に給与を支払うことで所得を分散できる(実態のある業務が前提)
  • 生命保険料、社宅、退職金など、法人のほうが経費にしやすい項目がある
  • 一方で、法人は設立費用、毎年の法人住民税(赤字でも均等割)、税理士費用などの固定コストがかかる

相続・承継

  • 個人所有の不動産は、相続時に不動産そのものを分ける必要がある(分けにくい)
  • 法人所有なら、相続するのは株式。株式は分けやすく、評価は純資産や類似業種比準で計算される。不動産を法人に移してから3年以内は通常の不動産評価のままなど、注意点がある
  • 法人の株式を少しずつ贈与して承継を進める方法もある

融資

  • 個人:給与・年収ベースの審査。住宅ローンとは別枠で、金融機関によって投資用ローンの条件が異なる
  • 法人:決算書ベースの審査。設立直後は代表者の連帯保証が前提になることがほとんど。実績を積むと法人単独で借りやすくなる
  • 金融機関によっては、法人のほうが融資期間を長く取れる、または逆に厳しい場合もある。事前に相談する

個人で持っている不動産を法人に移すとき

すでに個人で持っている不動産を資産管理会社に移すには、売買(個人に譲渡所得税、法人に不動産取得税・登録免許税)か現物出資が必要で、移すだけで税金と費用がかかります。「これから買う物件」を法人で買うのと、「今ある物件」を法人に移すのは、判断がまったく違います。

目安

  • 不動産以外の所得が高く、物件を長く持ち続ける予定 → 法人を検討する価値が高い
  • 数年で売却する可能性が高い → 個人の長期譲渡のほうが有利なことが多い
  • 相続を見据えて複数の物件を家族に承継したい → 法人(株式での承継)が整理しやすい
  • 1〜2物件で規模が小さい → 法人の固定費が負担になり、個人のほうが単純

結論は、物件ごとではなく「今後10年でどのくらいの規模にするか」で決まります。当社では、物件の収支と、個人・法人それぞれの手取りの目安を並べたうえで、税理士と一緒に判断できる形にしています。

税の計算は個別の事情で変わります。税理士にご確認ください。

参考
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