土地や一戸建てを売るとき、買主や金融機関から「境界は確定していますか」と必ず聞かれます。決まっていない土地は、取引が止まる・価格が下がる・後で紛争になる、の三つのリスクを抱えます。
境界には二つの意味がある
- 筆界(ひっかい):登記上の土地の区画。公的に定まっているもので、当事者の合意だけでは動かせない
- 所有権界:実際に所有している範囲。通常は筆界と一致するが、長年の使用や合意でずれることがある
売買で問題になるのは、隣地との間で「どこが境か」を双方が認めているかどうかです。
確定測量と境界確認書
確定測量は、土地家屋調査士が隣接するすべての土地(道路や水路など公有地を含む)の所有者と立ち会い、境界を確認したうえで測量図を作る作業です。立ち会った隣地所有者から境界確認書(筆界確認書)に署名・押印をもらうことで、「境界に争いがない」ことを示せます。
- 費用は土地の広さ・隣地の数・公有地との境界の有無で変わり、数十万円から、官民境界を含むと100万円前後になることもあります
- 期間は隣地所有者の協力次第で、1〜3か月程度。遠方や相続未了の隣地があると長引きます
- 道路との境界(官民境界)は、名古屋市など自治体との協議が必要で、時間がかかる要因になります
これに対し、現況の形だけを測る現況測量は、立ち会いがなく費用も安いですが、境界の証明にはなりません。
越境があるとき
隣の塀・屋根の庇・樹木・配管が自分の土地に入っている(または自分のものが隣に出ている)状態を越境といいます。売買では、越境の事実と「将来建て替えるときに解消する」などの合意を覚書にして引き継ぐのが一般的です。覚書がないと、買主が融資を受けられない・価格交渉の材料になる、といったことが起きます。
隣地と合意できないとき——筆界特定制度
隣地所有者が立ち会いに応じない、境界の主張が食い違う、という場合には、法務局の筆界特定制度があります。筆界特定登記官が、調査士などの意見をもとに筆界の位置を特定する制度で、裁判より短期間・低コストで結論が出ます。所有権界の争いは対象外なので、その場合は境界確定訴訟や調停になります。
売却前の手順
- 法務局で地積測量図・公図を取り、過去に確定測量が行われているか確認する(古い地積測量図は精度が低いことがある)
- 現地で境界標(コンクリート杭、金属プレートなど)を探す。見当たらなければ確定測量を検討する
- 隣地所有者を確認する。相続未了・所在不明の隣地があれば早めに動く
- 越境の有無を現地で確認し、覚書の準備をする
- 測量の費用と期間を売却スケジュールに織り込む(買主が決まってから着手すると、決済が遅れる)
境界が未確定でも「公簿売買(登記面積で取引し、測量を省く)」として売ることはできますが、買主が限られ、価格に反映されます。時間に余裕があるなら、先に境界を整えておくほうが結果は良くなります。当社では、土地家屋調査士の手配と隣地との調整を含めてお手伝いしています。

