築40年前後の木造・軽量鉄骨のアパートは、「まだ貸せる」と「そろそろ限界」の間で判断が難しくなります。感覚ではなく、数字と期限で比べる手順を紹介します。
まず現状を数字にする
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 収入 | 現在の賃料収入、入居率の推移、直近の募集賃料と成約賃料の差 |
| 支出 | 固定資産税・都市計画税、管理費、修繕費の実績(直近5年)、保険料 |
| 建物 | 屋根・外壁・給排水・設備の状態、耐震(1981年5月以前の建築確認か)、次の大規模修繕の見込み額 |
| 入居者 | 契約の種類(普通借家/定期借家)、長期入居者の有無、高齢・生活保護など退去交渉に配慮が要る方の有無 |
| 借入 | 残債、残期間、金利、繰上返済の条件 |
| 土地 | 用途地域・容積率・接道。更地にした場合の価格と、建てられる建物の規模 |
築古アパートでは、「建物は価値がほぼなく、土地の価値が大半」という状態が多く、出口の判断は土地をどう使うかの判断になります。
4つの出口
1. 保有継続(修繕して貸し続ける)
修繕費を投じて賃料を維持する。投じた修繕費を何年で回収できるかが基準。回収に10年以上かかるなら、他の選択肢と比べる価値があります。
2. 売却(収益物件として、または土地として)
入居者がいる状態で収益物件として売るか、退去後に土地として売るか。土地として売るほうが高くなることも多い一方、退去交渉と解体費用・期間がかかります。古い建物のまま「現況有姿」で買い取る業者もあり、当社もその一つです。
3. 建て替え
土地の価値を活かして新しい賃貸住宅を建てる。入居者の退去(立退料を含む)、解体、建築期間中の無収入、新しい借入が必要。容積率に余裕があり、賃貸需要が確かな立地では有力ですが、「建てれば埋まる」前提は危険で、事業収支の試算が必須です。
4. 資産組み換え
売却代金で、より管理しやすい不動産(築浅の区分、立地の良い一棟など)や、分けやすい資産に換える。相続を見据えて共有を避けたい場合に選ばれます。
退去交渉で押さえること
普通借家契約では、貸主からの更新拒絶・解約申入れには「正当事由」が必要で、老朽化だけでは足りないとされるのが一般的です。立退料で補完するのが通例ですが、金額は個別の事情で大きく異なり、相場を一律に言えるものではありません。
- 退去は「お願い」から始める。期限と引っ越し費用の負担を提示し、合意書を交わす
- 高齢の入居者には、転居先の確保まで含めて丁寧に進める
- 全戸退去までの期間(1〜2年かかることもある)を事業計画に織り込む
定期借家契約に切り替えておくと、将来の出口が取りやすくなります。既存の普通借家を定期借家に切り替えるには借主の合意が必要です。
判断の手順
- 上の表を埋め、「保有継続の10年収支」を出す
- 「土地として売った場合」「収益物件として売った場合」の目安を取る
- 建て替えを検討するなら、事業収支と自己資金・借入の見通しを確認する
- 相続・承継の予定(誰が引き継ぐか、共有になるか)を重ねる
- 期限(ローンの完済時期、大規模修繕の時期、相続の見込み)を置いて決める
数字が揃えば、答えはたいてい2つまで絞れます。当社は、保有・売却・建て替え・組み換えを同じ表で比較できる形にしてお出しします。

