重要事項説明(重説)は、宅地建物取引士が契約前に買主へ物件と取引条件を説明する手続きです。多くの場合、契約当日に数十ページを読み上げられて終わりますが、本来は事前に書面を受け取り、疑問点を質問してから契約するためのものです。以下の10項目は、特に住まいの購入で差が出やすい部分です。
1. 登記記録——所有者と担保
売主と登記上の所有者が一致しているか。抵当権が付いていれば、決済時に抹消される段取りになっているか(通常は売買代金で返済して同時抹消)。差押えや仮登記があれば要注意です。
2. 法令上の制限——建て替えで何ができるか
用途地域・建ぺい率・容積率・高さ制限・防火地域など。将来の建て替えや増築ができる規模が決まります。「既存不適格」(今の法律では同じ規模で建て直せない)の記載があれば、資産価値に直結します。
3. 道路——接道と再建築
敷地が接する道路の種別(公道・私道・建築基準法42条2項道路など)と幅員、接道の長さ。原則として、建築基準法上の道路に2m以上接していないと建て替えができません(認定・許可による例外があるため、個別に確認します)。私道なら通行・掘削の承諾があるかを確認します。
4. インフラ——水道・下水・ガス
本管の位置、引込みの口径、私設管の有無、下水が公共下水か浄化槽か。引込みが無い・細い場合、工事費が買主負担になることがあります。
5. ハザード情報
水害ハザードマップ上の位置(説明が義務化されています)、土砂災害警戒区域、津波。保険料と、将来の売りやすさに関わります。
6. 建物の状況——調査と耐震
建物状況調査(インスペクション)が行われているか、その結果。新耐震か旧耐震か(完成年ではなく、1981年6月以降に建築確認を受けたかで判断)、耐震診断の有無。中古では契約不適合責任の範囲と期間(売主が個人なら免責や3か月などが多い)を併せて読みます。
7. マンションの場合——管理と修繕
管理費・修繕積立金の額と滞納の有無、修繕積立金の総額、長期修繕計画、大規模修繕の履歴と予定、管理規約の制限(ペット・民泊・リフォーム)。積立金が計画に対して不足しているマンションは、将来の一時金や値上げが見込まれます。
8. 契約の解除条件
手付解除の期限、ローン特約(審査に通らなかった場合に白紙解除できる期限と条件)、違約金の割合(売買代金の10〜20%が一般的)。ローン特約の期限が短すぎないかを確認します。
9. 金銭の精算
固定資産税・管理費の日割り精算の起算日、手付金の保全措置(売主が業者の場合)、仲介手数料の額と支払時期。
10. 告知事項・その他
心理的瑕疵(事件・事故)、近隣の騒音や計画、越境、埋設物、土壌汚染の可能性。書面の「その他」や「備考」欄に、重要なことが短く書かれていることがあります。
読み方のコツ
- 契約の数日前に書面をもらう。当日初見で読み切れる量ではありません
- 不明な用語は、その場で遠慮なく聞く。説明する側の義務です
- 「調査の範囲外」「不明」と書かれた項目は、説明や調査がそこまで及んでいないという意味。契約書の条項でどちらの負担になるかを確認し、気になる点は追加調査を依頼する
重要事項説明は、売主側の仲介会社が作ることが多く、買主の視点で読み込む人がいないまま契約に進むことがあります。当社では、購入のご相談で重説案を事前にお預かりし、買主の立場で確認すべき点を整理してお渡ししています。

