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事業承継と不動産——会社が持つ土地・建物を、引き継ぐ前に整理する

事業承継と不動産——会社が持つ土地・建物を、引き継ぐ前に整理する

本社・工場・社宅・遊休地。会社の不動産は承継のときに株価・資金・後継者の負担を左右します。承継前に見直す順番を整理します。

経営者の世代交代が近づくと、議論の中心は株式と後継者になりがちです。しかし、中小企業の資産の多くは不動産で、ここを整理しないまま承継すると、後継者が「使わない不動産と借入」を抱えることになります。

会社の不動産を4つに分ける

区分 例 承継での扱い
事業に不可欠 本社、工場、店舗 引き継ぐ。ただし「所有し続けるか、売却して賃借するか」は検討の余地
事業に使っているが代替可能 倉庫、駐車場、社宅 規模に合わせて縮小・売却・賃借への切り替え
遊休・低稼働 旧工場跡、使っていない土地、空き社宅 承継前に売却または活用。株価を押し上げ、固定資産税・管理費を生み続けるだけになりがち
経営者個人の所有で会社が使用 社長名義の土地に会社の建物 地代・賃料の設定、相続時の分割、会社への移転の検討

不動産が株価を押し上げる

非上場株式の評価では、会社の純資産(不動産は相続税評価)が反映されます。使っていない土地でも評価額があれば株価を押し上げ、後継者が株式を引き継ぐときの贈与税・相続税の負担が増えます。事業承継税制(納税猶予)を使う場合でも、要件や事後の制約があり、資産管理会社的な会社は対象外になることがあります。承継前に遊休不動産を売却して現金化し、退職金や納税資金に充てる、という整理はよく行われます。

「持つ」と「借りる」を比べる

本社や工場をセール・アンド・リースバック(売却して賃借を続ける)する方法があります。

  • 利点:まとまった資金を確保できる、不動産のリスク(修繕・固定資産税・値下がり)を手放せる、株価を下げられる
  • 注意点:賃料が発生し続ける、賃貸借の期間・更新条件が事業の継続を左右する、売却益への課税

後継者が「不動産の経営」ではなく「本業の経営」に集中できる形にする、という視点で判断します。

経営者個人の不動産を会社が使っている場合

社長個人の土地に会社の建物が建っている形は、中小企業で非常に多い構造です。

  • 地代を取っているか、無償か(無償返還の届出の有無)で、相続時の土地の評価が変わる
  • 社長に相続が起きると、その土地は相続人の間で分割の対象になり、会社の事業用地が分散するリスクがある
  • 承継前に、会社が買い取る、後継者に相続させる方針を決めて遺言で固める、などの手当てが必要

承継前に進める順番

  1. 会社と経営者個人の不動産を一覧にし、区分・評価額・収益・固定費・借入との紐づきを整理する
  2. 遊休不動産の売却・活用の目安を取り、株価と資金への影響を試算する
  3. 事業に不可欠な不動産について、所有継続かリースバックかを比べる
  4. 個人所有・会社使用の不動産の扱い(地代、買い取り、遺言)を決める
  5. 税理士・弁護士と、株式の承継スキーム(贈与、売買、事業承継税制)に不動産の整理を組み込む

不動産の整理は、株式の承継より先に、時間をかけて進めるほうが選択肢が広がります。当社は、税理士・弁護士と連携して、不動産側の評価・売却・組み換えをお手伝いしています。

税務・法務の個別判断は、税理士・弁護士にご確認ください。

参考
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